焼き物

家でも出来る干物の作り方

干物とは

さて、突然ですが、食品は水分が多い程、腐りやすくなります。魚の水分量は体の75%以上と言われており、肉に比べて当然ながら腐りやすくなります。(野菜も水分量は多いのですが、野菜は収穫後も呼吸をし、細胞が生きているので、腐りにくい。よって、ここでは例外とします。)

冷蔵技術の発達する以前の時代、いくら魚が取れても、食べきれない。なんとか魚を長期保存出来ないかと先人たちが考えて作り出したのが干物ってわけであります。要するに干物とはそもそもは保存食として日本各地で作られてきた訳ですね。

じゃあ、冷蔵技術の発達した今現在、干物なんて必要ないじゃないか、なんて思うかもしれませんが、実は干物にするメリットは保存性だけでは有りません。

副産物的では有りますが、干物にすることで、魚の水分が飛び、旨味が凝縮されます。つまり生のまま焼くより干物にした方が美味しいということになります。

さらに、旨味成分の凝縮とは別の話になりますが、面白い実験結果が有ります。

アジを生のまま焼くのと干物にしてから焼くのでは、焼き上がりにどちらが水分が多く残るのかという実験です。

結果は干物にしてから焼いた方が身に水分が多く残るそうであります。

サンマなど、生の魚を焼いたことがある方は想像できるかと思いますが、生の魚を焼くと相当な量の水分が落ちます。一方で、干物を焼いても水分はほとんど落ちません。

これは生の魚をそのまま焼くと、魚の細胞が壊れるため、身の保湿性が失われ、抱えきれなくなった水分が、身から押し出される訳です。当然ながらこの落ちる水分には魚の旨味も含まれております。

一方干物は、乾燥による水分の蒸発であるため、蒸発する水分はほとんどが水ということになります。よって魚の旨味は身に残ったまま。

さらに魚の表面が乾燥によりコーティングされる事で焼いた際に水分が外に出にくくなるという事です。

偶然か必然かはさておき、魚を干物にするということは一石二鳥、三鳥、とメリットばかりな訳であります。

干物は自分で作れるのか?

ところで日本人にとってこんなにも馴染深い干物でありますが、実際に家で作った事のある方は意外と少ないのではないでしょうか?

結論から申しますと、場所とスペースに余裕さえあれば干物は簡単に作ることが出来ます。

まぁ、作らずともスーパーでも買えますし、海辺に観光地に行けば色々な魚の干物が手軽に買えますし・・・・なんて思っている方はね、一度、干物に貼り付けてある裏の成分表示を見てみてください。

酸化防止剤はもちろん、甘味料や保存料、様々な化学調味料が混入している事に気づくと思います。

食品が工業製品と化した現代ですから、ま、仕方ないと言えばそれまでなのですが、せっかく食材に恵まれた国に生まれたんですもの。

とても簡単に作れますから、一度は干物をご自分で作ってはみては如何でしょうか?

と、言う事で、

干物の作り方

写真は北海道産の生のししゃもです。今回はししゃもを使って干物の作り方を説明致します。

干物のポイントは塩分による脱水と旨味の凝縮です。

ししゃもを軽く水洗いし、ザルに並べて薄めに塩を振ります。この塩は味を入れるためではなく脱水するための塩ですので薄くて構いません。全体に満遍なく振ってください。

そのまま10分程経ちますとししゃもの表面に薄っすらと水分が浮き出てくると思います。常温で放置しましょう。

その間に漬け地を作ります。

酒と水を1:1の同割りにし、10%の塩を加えます。(水500ml酒500mlに対し、塩100g)

この漬け地の塩分が薄すぎると、ししゃもから水分が抜けません。

10分経ったら、先ほどの漬け地にししゃもを入れます。水で洗わずに直接漬け込んで構いません。

そのまま5分漬け込みます。

漬け地からししゃもを引き上げザルに並べます。ラップなどをせずに、冷蔵庫にザルごとししゃもを入れて、一晩置きます。

この際ししゃも同士は重ならないように十分に間を空けてください。

冷蔵庫内の風の向きにより乾き過ぎてしまうものが出ますので、数時間に一回はザルを回して向きを変えましょう。

10時間程経てば、程よく水分が抜けソフトな干物になっているはずです。

これで干物の完成です。

後はグリルでじっくりと焼けば、出来上がりです。

是非是非、市販品にはない、しっとり感を楽しんでください。

アジの干物の作り方

ちなみにアジやカマスなどで干物を作る際も手順は同じ。

背開きにしてから塩を振り、漬け地に漬け込み、後は干すだけ。

ただし、漬け地に漬け込む時間は10分程を目安にしてみてください。

食べてみて、塩気が薄いようでしたら次回からは漬け込み時間を長くしたり、漬け地の塩分を濃くしたりと、ご自分で微調整をお願いいたします。

料理全般に言えることですが、一度でうまくいく事はほとんどありません。

何回も作るうちに自分のレシピや法則を完成させて下さいませ。