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【風物詩】シンコを食べなきゃ夏が始まらない?

シンコをさばいて、酢で締めるまでを紹介します。仕込み方で味が大きく変わるので、お好みの味付けでお試しくださいませ。

目次

シンコとは?

シンコはコハダの子供で、7月8月になると出回り始めます。お寿司屋さんでは、シンコを食べないと夏が始まらないと言われるぐらい夏の風物詩的な食材です。

シンコの値段

季節の魚であるシンコは値段の動きが激しい魚です。出始めの値段はめちゃくちゃ高く、今年の4月の初めに仕入れた一番高いシンコは、1キロあたり16万円でした。8月の頭には1キロ1万円前後になり、豊漁や他の店の仕入れが少なかったりして値段が崩れると、1キロ6000円まで落ちたりします。

1匹が非常に小さい魚なので、仕込みに手間がかかり人件費が高く、シンコ自体の値段も高いということで、良いお寿司屋さんでシンコを頼むと1貫3000円も取られたりします。美味しいからといってあまり頼みすぎると、お会計がとんでもない額になってしまいます。

シンコの産地

シンコは、静岡の舞阪のあたりで7月の初旬に水揚げが始まります。江戸前もあるにはあるんですけれど、市場では江戸前よりも舞阪、熊本、石川をよく見かけます。

シンコのさばき方

基本的なさばき方は、コハダと一緒です。まずは背びれを落として、頭と尻尾を落とします。背ビレを取り外す点の注意点は、尻尾寄りの背ビレに長いヒレがあるので、しっかりと切り落とすことです。

そして、シンコをさばく際は頭や尻尾を落としたあとも、常に氷水を使って冷たく冷やしながら作業を進めてください。

氷水を使って作業する理由

シンコは魚体が小さいぶん、非常に身が傷みやすく皮がズルズルになりやすいので、少しでも見た目がきれいに仕上がるように、常に冷やしながら作業する必要があります。

ウロコのかき方

ウロコをかく時包丁に力を入れすぎると、シンコの皮は非常に弱くて皮ごとズルっとむけてしまうので、力加減に注意してください。

頭・腹の落とし方

頭と尻尾を落としたら、お腹を直線に落として内臓をかき出します。

お腹を落とす際の注意点は、あたりを付けたらしっかりと一太刀で下に押すようにしながら切り落とすことです。包丁を前後に動かすと断面がギザギザになって見た目が悪くなるので、意識して落とすようにします。

あとは、切れる包丁を使うことです。シンコに限らず、魚をさばく際の大前提なので、しっかりと見栄え良く仕上がるように、作業を進めてください。

シンコのひらき方

頭と尻尾を落としたら、シンコを腹開きします。小さいので作業しづらいんですけれど、コハダと一緒です。

魚の頭を右に向けて中骨に沿って包丁を入れ、身を反転させて中骨を引き抜きます。中骨を引き抜いたら、肋骨を包丁でかきます。背びれの骨がうっすらと残るので、背ビレの骨を最後に切り落とします。

この際も氷の上にバッドを乗せて、常に冷やした状態でさばいたシンコを重ねていきます。

シンコの塩締めの仕方

シンコをさばいたら、続いて塩と酢で締めていきます。コハダの場合さばいたらザルに並べて塩を直接当てますが、シンコは小さいので直接塩をあてると、塩が入りすぎたりムラになりやすいので立て塩で締めます。

立て塩とは?

立て塩とは、塩水を使って身を塩でしめることです。

立て塩の塩加減は、まあまあ濃いめです。この塩加減は人によって千差万別ですが、僕の場合は、ある程度しっかりめに塩を水に溶かして氷を加え、冷たい塩水を作ります。

立て塩の仕方

立て塩の濃さ

濃さの目安は、魚を入れた時にゆっくり魚が沈んでいくぐらいの塩加減です。飽和するまで塩を加えると、シンコを水に落とした時に沈まずに浮いてくるんです。

僕の場合はシンコが水面に浮くほど塩は濃くせずに、浸けた時にしっかりと水に沈むぐらいの濃さを目安にしています。

塩水の濃度が決まったら、先ほどさばいたシンコを入れます。シンコ同士が重ならないように、軽くかき混ぜて1分~2分ほど塩水に浸けて、時間になったらシンコをザルにとります。

立て塩の時間

塩水に浸ける時間は、シンコの皮目がうっすらと反り返ってくるぐらいが目安です。大体1分半ぐらいで、うっすらと皮目にシワが寄ってるぐらいの加減で、塩水から上げます。

こればっかりは経験でしか分からないことなので、何度も仕込んで何度も食べてみて、自分なりの判断基準を設けるのが良いと思います。

一度ザルにあげて、このあとお酢に浸けます。人によっては、立て塩をしてからザルに広げてシンコを干す方もいらっしゃいます。僕の場合は、干さずにこのままお酢に浸けてしまいます。

シンコの酢締めの仕方

酢の割合

浸けるお酢の加減も人によって好みが分かれます。

僕の場合は、画像の大きさのシンコなら、水と酢が2:1ぐらいの割合で浸けます。もうちょっとシンコが大きくなったら、お酢と水を1:1にしてみたり、水1にしてお酢2にしてみたりします。

これも感覚仕事なので、何度もお料理して自分の味を作ってください。

酢につける時間

ほどよく酢に浸かったら、再びザルに上げます。

酢に浸ける時間も味を決めるポイントの一つです。僕の場合は、うっすらと表面が白くなりだしたら酢から上げるようにしています。シンコを1日置いて使うのか仕込んだ当日から使い始めるのかでも、どれぐらい酢に浸けるのかが変わってくるので、そういう部分がお寿司の難しいところかなと思います。

酢から上げる際は、小さいシンコから上げていきます。大きさがほとんど一緒だったら一気にザルに上げてしまいますが、ちょっと大きさに差がある場合は、大きいものは長く酢に浸けます。

酢から上げたら5分ほど軽く水気を切り、1日置いてシンコの仕込みの完成です。どれぐらいお酢をきるかでも味の入り方が変わってくるので、色々試してみると良いと思います。

シンコの保管方法

ラップをして、冷蔵庫で1日寝かせればシンコの仕込みの完了です。1日寝かせても見た目がそんなに変わるわけではないですが、若干表面がしっとりしてきたぐらいが食べ頃かと思います。

シンコの刺身の盛り付け方

お寿司にする際は、3枚~5枚を重ねて握ります。つまみで召し上がる際は1枚1枚折りたたみながら盛り付けていくと、きれいな見た目になります。

今回のYouTube動画

今回の記事は、動画でも紹介しております。ぜひ、ご参照くださいませ。

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