その他雑記

美味しい「まかない」とはなんぞや?

まかないに求める物

そもそもまかないとはなんぞや

昔から料理屋にはまかないって言う風習が御座います。

まかないって言葉すら知らないって方に説明しますが、まかないってのは要は従業員が食べるご飯の事ですね。

最近では様々な事情でまかない自体が無いってお店も増えてきている様ですが、まぁ如何せん料理屋ですからまかないが無くなる事は無いと思っております。

さて、多くの方は料理屋のまかないってのはさぞや美味しいものが出てくるんだろうと想像している事と思います。

私もお客さま方に、どんなまかない食べてるの?なんて良く質問されますしね。

皆さま、お店で出す様な商品、つまりは新鮮な刺身や豪華な丼ぶり、綺麗な焼き物やらサクサクの揚げ物なんかを毎日食べていると想像している様ですね

ですが実情はちょっと違っていたりします。

なぜなら、まかないを作るのは多くの場合、料理人見習いのヒヨコ、いや、ヒヨコにすらなってない料理人の卵達が作るからです。

そもそも料理業界は間口が広い。

皆さん料理屋で働く卵達はいつか自分の店を持ちたいと考えている若い子達だと思っているでしょう。

もちろんそういった子達もいるにはいますが、大多数は今まで包丁なんて触ったことが無かったって人間がほとんどです。

調理師学校には通ってはいても、学校なんてのは所詮は学校。

食材も調味料もレシピまで手取り足取り教えてくれる、そんな環境にいたからってすぐにまかないは作れる様にはなりません。

何故かって?

そりゃ答えは簡単。

まかないってのは商売と一緒なんです。

決められた予算があり、制限時間がある。

おまけに食べさせる相手は料理を何年もやってきた先輩達。

献立からレシピまで自分で考えろ。

ほら、商売と一緒でしょ。

先輩が後輩に振る舞うって特殊なお店や、お店のメニューを覚えるためにまかないはお店のメニューを若い子達が作るってお店さておき、包丁を握り始めて1,2年の卵達がやるんですから、皆さん想像している様な豪華で美味しい食事では無いんですよね。

そもそも仕事ができる人間は、どんなお店でもまかないじゃなく営業の方に労力を回しますから、まかないは営業に力を回すにはまだ早いタマゴやヒヨコ達の勉強の場なわけであります。

まかないは何を作れば良いの?

さてまかないのなんたるかが解ったところで、今度は先輩方は何を見ているかについて書きましょう。

そもそもヒヨコ達が限られた予算で作る料理に先輩方は美味しさはそこまで期待しておりません。

もちろん美味しいに越した事は無いですが、日々の仕事を見てればどんなもんかはある程度予想できますんでね・・・・

では先輩はまかないに何を期待しているのでしょうか?

まかないに期待するもの

先輩方がまかないに期待するもの。それは大抵の場合以下の3点だと思います。

  • 基本を覚える為の時間に有効活用しているか
  • 以前の失敗を活かして何か新しい発見をしているか
  • 時には新しい挑戦をしているか

若い子達にはいまいちピンとこない事でしょうから順をおって説明しましょうか。

その1 基本を覚える為の時間として活用出来ているか?

そもそもまかないとは見習い達の勉強の時間です。しかし同時に仕事の時間でもあります。よって若い子はまかないの時間を通して仕事に役立つ勉強をしなくてはなりません。

例をあげるなら、お店では焼き物のあしらいに甘酢につけた菊花カブを添えていたとしましょう。

さて、見習い君はまだ上手に蕪を菊花に包丁する事が出来ません。

だったらまかないの時間に練習すればいいじゃ無いですか。材料費だってお店が出してくれる訳ですし、出来ればみんなの役に立つじゃありませんか。

桂剥きが出来なきゃ桂剥きの練習をしてサラダを作ったり、煮物がいまいちなら先輩にあたりを見てもらいながら煮魚を作ればいい。

要は出来ない事を練習する時間に当てなさいと、その為なら上手く出来なくても構わないよと。

時間を有効活用しなさいよという事です。

その2 以前の失敗を活かして何か新しい発見をしているか

さて、その1の例をそのまま引用しましょう。菊花カブに挑戦した見習い君。

しかし出来栄えはいまいち。まだまだお客様に出せるレベルにありません。

何がいけなかったのか?先輩に聞き、どうしたら綺麗に切れるのか?どのくらい漬け込めば味のバランスが取れるのか、もう一度挑戦し何か新しい発見をしなくてはなりません。

この様に、失敗をしっかりと反省し、次は今よりも少しだけよくなる様改善していく。

真剣に料理に向き合っていれば失敗したからってみんな黙って食べますとも。

その3 時には新しい挑戦をしているか

やっと菊花蕪が上手に作れる様になった見習い君。

そこで終わっちゃいけません。本を読むでもネットで調べるでも構いません。他のあしらいに挑戦しなきゃ。

前回までは菊花蕪だったから、今回は花レンコンでも添えてみましょう。

きっとまたあーじゃねこーじゃね言われる事でしょう。

それを少しづつ直していき、先輩も出来ない様な綺麗な花レンコンを作れる様になりゃそれこそ立派な戦力じゃありませんか。

余談ではありますが昔々、週に一回胡麻和えを作る小僧がおりました。

ある日は甘すぎて病気になると怒られ

またある日はこりゃ和え物じゃなく漬物だなと言われ・・・・

そんなこんなで数ヶ月たったある日、先輩から

「確かに上手くなったが、お前の胡麻和えはゴマがうまいだけだ」

と言われます。

小僧はその真意を考えます。

一体何がいけないのか?

そしてある日小僧は気づきます。

胡麻和えとはゴマを楽しむ料理じゃ無い・・・と。

ほうれん草でも菜の花でも、野菜を美味しく食べるために胡麻和えという調理方法があるのだ、と。

その時小僧は少しだけ料理とは何なのかわかった気がしました。

ね、まかないだって真剣にやってりゃ、たまにヒントが見つかるかもしれません。

せっかく食材に触れてるんですからいい時間にし様じゃありませんか。

これがお店が、先輩が、ヒヨッコ共のまかないに求めてる真では無いでしょうか。

頑張るにゃ