魚の基本的な捌き方

【1週間の熟成】ポイントは保存温度・空気の入れ具合

型のいい脂の乗っているノドグロの炙りをご紹介します。魚の熟成方法やさばき方のコツも説明しています。

ノドグロとは?

ノドグロの正式名称はアカムツという名前です。口を開けた際に真っ黒な膜がノドに付いているので、ノドグロと呼ばれています。サヨリなどもそうなんですけれど、口を開いた時に黒い膜がノドから見えて、お腹まで繋がっています。

冬が旬だと言われますが、季節よりも産地や個体によります。冬でも全然脂が乗っていなくてスカスカのノドグロもいます。産地や大きさ、夏か冬かというよりも、しっかり脂の乗った個体かどうかのほうが重要だったりします。夏場のノドグロでも個体によってはしっかり脂が乗っているので、その辺を考えて仕入れると良いのかな。

ノドグロのさばき方

熟成させる際は、ヒレを切り落として冷たい環境で保存します。ヒレ付きのままさばくことは多々あるんですが、ヒレは入り組んだ構造をしていて雑菌が溜まりやすいので、魚を寝かせる際は必ずヒレを切り落とします。

ヒレを切り落としたら、続いてウロコを落とします。身に負担がかかる真横には動かさず、なるべく魚の表面をなぞるような感じで上下に動かしながら優しくウロコを取っていきます。身に負担がかからないと、臭みが出ず、身が腐ることなく熟成して味が出てきます。

全体のウロコを落としたら、残ったウロコを包丁でかき取りながら頭を落とします。腹ビレから頭に向かって45度の角度で包丁を入れてから、胸ビレの付け根で頭を落とします。

お腹にも包丁を入れて、頭と一緒に内蔵もはずします。

頭を落としたら、尻尾を落とします。

血合いの部分に包丁を入れて水洗いをします。水洗いのポイントは、腹の黒い膜と血合いをしっかり落とすことです。軽く水を流しながら、優しく腹の黒い膜をはぎ取ります。

腹の膜をはぎ取ったら、血合いの部分は魚専用に1本ハブラシなどを用意して、しっかり血合いをこすってお腹の中をきれいにします。ヒレに雑菌があるように血も雑菌が湧きやすい部分なので、血をしっかり落とすことも熟成させるときのポイントです。

血合いを落としたら、血合いの一番奥の部分に水道水を当てて血を抜きます。腹の終わりから尻尾にかけて太い血管があって血がたまっているので、この血を抜くために強めに水を当てます。

水の当て方としては、水をきつめに絞るような感じでお腹の付け根に水を押し当てると尻尾側から血が滲んできます。血のにじみがなくなるまでしっかり水を当てます。

ノドグロの熟成方法

内臓、腹膜、血合いなどを洗ったら、氷水につけて寝かせます。寝かせる際はリードペーパーを用意して、1枚はお腹にしっかりと当てます。

次に、ペーパーでノドグロの身全体を包みます。

包んだノドグロをビニール袋に入れます。このまま冷蔵庫に入れてもいいんですけれど、冷蔵庫は0度に設定しても開けたり閉めたりで2~3度温度が上がります。傷むのが早くなるため、氷水に漬けて熟成させていきます。空気を抜いて0度に近い状態で魚を保存するというのがポイントです。

少し大きめのタッパに氷水を用意して、ビニール袋の口を閉じないまま氷水の中に身を沈めます。するとビニール袋内の空気が抜けて、真空状態まではいかずともペタッと袋の中の空気が抜けます。しっかりと袋の中の空気を抜いた状態で袋の口を輪ゴムで止めます。

僕なりの理屈なんですけれど、魚を熟成させるポイントはなるべく空気に当てずに真空状態にして、酸化のスピードを遅くすることです。魚を酸化させないことで、魚の脂が身全体にまわってタンパク質がアミノ酸に変わり、美味しくなると思います。

ビニール袋の空気を抜いたら魚が浮いてくるので、上から氷をかぶせて魚全体が氷水の中に沈むようにして魚を寝かせます。

1週間ほど寝かせたいと思うんですけれど、このままの状態で1週間置いておくとノドグロからドリップが出て臭いが出ます。なので、ペーパーは最初の2日は1日に1回、その後はドリップがだんだん減ってくるので2日に1回程度ペーパーを取り替えます。1週間ほど冷蔵庫で充分にノドグロを寝かせたら、さばいて食べるだけです。

寝かせると、水分がある程度抜けて表面の照りがなくなってくるというか、シワシワっとしてきます。こうなると全体に脂や身の甘みが出てきて美味しいので、この状態になってから食べるとよいのではないかと思います。

ノドグロのおろし方

おろし方は普通の3枚おろしです。腹から包丁を入れて、背中に包丁を入れます。

背中をおろす際は、骨のなるべく際を攻めます。ですがノドグロの骨は細くて柔らかいので、無理に骨を探ろうとして下の方向に力を入れ過ぎると下の身を削ってしまいます。無理にカタカタと包丁を骨に当てて音を鳴らそうとせずに、優しく骨の位置を探るような感じで、骨の上をなぞるイメージでさばきます。しっかり切り進めたら、最後に繋がってるアバラ骨をはずします。

頭を左に向けた際に下になる下身は誰でもおろせると思うんですが、上身をおろすのが比較的難しいです。

3枚おろしの場合は、通常背中から包丁を入れて、次にお腹から包丁を入れてという形が一般的です。ところがノドグロの場合は背ビレと中骨の間が意外と広いため、この間の部分に身が残りやすいです。

ノドグロをおろす際のちょっとしたコツは、背ビレのギリギリを角度を付けて切り込み、先に背ビレだけはずします。

残った中骨は、裏おろしの要領ではずします。そうするとほとんど骨に身を残すことなくさばけます。

お腹側に包丁を入れて、身の繋がった部分を切り離せば3枚におろせます。こうすると上身も比較的きれいにさばけるかな。

アバラ骨をすき取って、中骨を抜きます。

ノドグロのおすすめの食べ方

僕のおすすめはなんと言っても炙りです。ノドグロを刺身で食べる方もいらっしゃると思うんですが、やっぱりこういった脂の乗った魚は火を入れたほうが味が出て美味しいと思います。

皮目に味があるので、皮つきのまま食べたほうが美味しいです。炙ると皮目が縮んで身が反り返ってくるので、皮目に包丁を入れます。

家庭で手軽にやるならバーナーなどで炙ってもいいのかなと思います。皮目を重点的に炙るとよいのかな。ちょっと火を加えると身の表面に脂が浮いてくるノドグロは、脂が乗っていて美味しいです。

炙る時は片面だけ炙る方もいますが、僕は比較的しっかりめに火が入っていたほうが好きなので、裏面もサッと炙ってしまいます。お好みの加減に火を入れてお召し上がりください。

ノドグロの盛り付け方

盛り付けのコツは、奥を高く手前を低くすることです。ツマがあれば、ツマを使って奥に高さを出して、手前は高さを出さずに身を盛り付けると、見栄えの良い刺身になります。

ワサビと醤油、塩とワサビ、塩とスダチなど何でも美味しいと思います。基本的にワサビは食材の脂が強いと効きにくいです。脂と一緒に食べると辛さを感じないという特徴があるんです。ノドグロなどの脂の強い食材を食べる時は、多少多めにワサビを添えるとよいのかな。

寿司でも、トロや脂の強い食材の時は多少ワサビを多めに入れます。食材の特徴によって、ワサビの量やシャリの大きさなども調整するといいと思います。何かの参考になりましたらうれしいです。

今回のYouTube動画

今回の記事は動画でも紹介しております。ぜひ、ご参照くださいませ。