魚の基本的な捌き方

【鮨の握り方】小手返し・本手返し・たて返しの握り方や違いを解説

刺身の切り付けや寿司の握り方を覚えると、自宅で寿司を楽しむ機会が増えます。もしかしたら寿司職人転身への道が開けるかもしれません。この記事では寿司を綺麗に見せる握り方を中心に、握り方の特徴などを紹介します。おいしい酢飯の作り方などもまとめました。

寿司の握り方【酢飯・下準備】

寿司を握る前には下準備として、酢飯を準備することが大切です。酢飯が準備できてから、刺身を切りつけ寿司を握るという順番にすると、効率よく寿司を握ることができるうえ、寿司ネタが新鮮なままで提供できます。まずは、寿司を握る前準備から解説します。

①酢飯の準備

お客さんにサービスする分だけの量の酢飯を準備します。お店では赤酢(酒粕を熟成させて作った酢)とご飯を混ぜて作った酢飯を使います。江戸前寿司は赤酢を用いることが多く、赤酢が持つ特徴的なコクだけで甘みを引き出しているので、砂糖などは使いません。

家庭で酢飯を作るなら

【米一升分の分量】

  • 酢 200ml
  • 砂糖 80g
  • 塩 20~30g

これらをよく溶かしたものをかために炊いたご飯に足し、切るように混ぜます。酢は家庭にあるもので構いませんが、酸味が柔らかい米酢や玄米酢などがおすすめです。

詳しくはこちらの動画をご覧ください

②手酢の準備

炊き立てのご飯が手にまとわりつくのを防ぐために、水を準備します。器の中に、水と氷、酢を少量混ぜたものを使います。お店によっては、ガリを漬けた酢水(ガリ酢)を水に混ぜたものを使うところもあるようです。氷水を使い、手の熱でネタに熱が入らないよう、手のひらを冷やす工夫も込められています。

【鮨コラム①】女性は寿司職人に向いていないって本当?

閑話休題です。寿司職人や板前の世界では、女性は務まらないといわれていたのは過去の話です。これは、手の大きさや手の温かさなどが関係していたといわれています。女性は手が温かいためネタの鮮度が落ちてしまうとか、手が小さいから寿司が握れないなどと言われていたことが理由なのだそうです

しかし、手酢のように手のひらを冷やしながら寿司を握る知恵がありますし、そもそも手の温かさは男性も変わりません。また、すしの握り具合に関して、手の大きさはほぼ無関係です。女性板前が人気のお店もあるくらいなので、「女性は務まらない」という見方はほぼなくなりました。

寿司の握り方【基本のかたち】

寿司を握るときには、シャリの形を整え、ネタと一体化させるための特徴的な握り方があります。基本の握り方から、形をさらに整えて、綺麗に整った形でお客さんのもとへサービスするまでには、「小手返し」「本手返し」「縦返し」と3種類の握り方のバリエーションも存在します。

シャリとネタを準備する

まず、手酢を手の平になじませます。右利きの場合、左手でネタをとる間に右手では一口分のシャリを手に取り、指と手のひらを使って軽く丸めておきます。

寿司ネタには、切りつけ方によって表と裏ができています。小刃(こば)を立てて切りつけた側が表になるので、左手でネタを持つ場合は、表面を下にします。わさびをつける面を上にすると覚えておくとよいでしょう。画像の刺身は表面になります。

寿司を綺麗に握る準備ができました。この形までの工程を第一ステップとします。

ワサビをつけてシャリと合わせる

シャリを握っている手の人差し指でワサビを適量とります。

適量とは、この程度を目安にするとよいでしょう。ネタの中心にワサビをのせたら、シャリとあわせます。

左手を軽くくぼませて、シャリの形に添うようネタをそらせます。ネタに軽く押し付けるようにシャリを合わせてください。

寿司の形を整える

ここからがおいしい寿司をの握る秘訣です。左手の親指で、丸く握ってあるシャリの中央に穴をあけます。

一口分に軽く丸めたシャリの中心に穴をあけるときに、先に丸めたシャリを軽くほぐすイメージを持つとよいでしょう。

なぜ、シャリに穴をあけるかというと、シャリに空気を含ませるためです。また口の中に入れたときにほどけやすくする効果もあります。これからさらにシャリを締めていくので、硬くならないようにする意味も込められています。

簡単に形を整える

一度シャリをほぐすように穴をあけているので、刺身の幅に合わせてシャリを締めていきます。右手でネタの上下(刺身の短い辺)に当たるシャリを軽く押さえ整えます。一口大になるよう幅を決めておくとよいでしょう。

次に、ネタの幅からはみ出ないよう、左右を軽く整えるように押さえます。

都合、四角形になるよう、上下左右の4辺を押さえたら【基本の握り方】が完了です。しかし、完了といってもまだ半分のプロセスしか完成していません。ここからネタの種類などに合わせてさらに形を整えるための握り方に分かれていきます。

寿司の握り方【小手返し】

小手返しの方法は、寿司の握り方でも基本とされています。一番オーソドックスな手段で綺麗にお寿司を握る方法として知られています。ネタとシャリの一体感が生まれやすい握り方が特徴となります。まずは、基本の握り方まで寿司を握ります。

次に指先を丸め寿司を包むように囲ったら、指先を広げるとともに寿司を回転させ、ネタが上向きになるように返します。右手で受け止め、寿司の位置を調整してください。これが、小手返しの手法です。

こて返しをしたら、右手の中指と親指を使ってネタでシャリを包むように両サイドを締めます。いったんほどけたシャリの形がここで整います。

サイド(縦の辺)が締まったので、次に親指で短い辺を締めます。わかりやすいように裏側を見せていますが、一連の作業ではネタを表に置いたままで締めていきます。

③の締めの工程で、両サイドが若干緩んでしまうので、再び両サイドを締めたのちに、残りの短い辺を締めていきます。

④の工程においては、右手の指先は軽く添えるだけです。

これで、小手返しを使った寿司の握りができました。ネタとシャリがうまくまとまっていて、綺麗に仕上がっています。

寿司の握り方【本手返し】

次は、本手返しという手法です。また基本の握り方で、シャリに穴をあけたのちに四つの辺を軽く締めた状態まで作ったところから始めます。

まず手始めに、右手の人差し指で短いほうの辺を締めます。その後で、人差し指と中指を使って右手に返します。

このとき、締めた①の辺が指先に来ていることを確認してください。

左手をかぶせ、手のひらの上下を返すと、寿司が左手に移ります。これが、本手返しの手法です。左手に移った寿司は、シャリが上向きになっていることを確認してください。また、締めた①の辺が小指側にあることも確認しましょう。

返した後は、①の工程と同様、反対側の辺を締めていきます。

ここで、短いほうの辺の両側が締まりました。小手返しとの違いは、返し方の違いもそうですが、脇の締め方が異なるという点がありますね。

次に、小手返しと同様、長い辺にの両側を締めていきます。右手中指でネタを優しく押さえながら、人差し指はシャリを締めています。

最後に、仕上げに両サイドを軽く締めていきます。形を綺麗に仕上げるためのものなので、軽く締める程度で構いません。

本手返しによる寿司の握りが完成しました。もちろん小手返しとの仕上がりの違いはありません。両手を使って返すので若干工程が多くなりますが、寿司が綺麗に仕上がる方法のひとつです。

寿司の握り方【縦返し】

ここからは縦返しの手法です。こちらも基本の握り方の途中の工程まで済ませた状態から始めます。

縦返しも右手で寿司をいったん受けて、左手へ返す手法を取ります。ただし、縦に返すため右手の取り方が本手返しと違うのが特徴的です。右手は親指と人差し指を寿司の幅に広げ、左手の寿司を迎えに行きます。

右手指先は、ネタとシャリの端を押さえるように寿司を支えてください。寿司を乗せていた左手を右手に重ねるようにして寿司を返します。

右手に寿司が移ったので、そのままの状態で左手に返します。右手の寿司が縦になっているので「縦返し」と言われています。あとは、小手返しの締め方と同様4辺を絞めて形を整えるだけです。

これが小手返しで握った寿司です。ほかの返し方との違いもありません。

魚類をネタにする場合は、小手返しや本手返しでシャリとネタを一体化させますが、縦返しを使う握り方の場合、玉子や芽ネギといったシャリと一体化しにくいネタを握る場合に使います。縦返しは、返しのときにネタを大きく触らないという大きな特徴があることにお気づきのことでしょう。

3つの「返し」の違いとは

小手返し、本手返し、縦返しの違いは単純に寿司の方向を返す手段だけです。握り方のゴールはすべて同じなので、それぞれの特徴をうまくとらえて、握り方をマスターするとよいでしょう。まずは、小手返しの方法を覚えるとバリエーションが広がりやすくなります。

寿司の握り方はどこで変えるのがいいの?

本手返しや縦返しなどどういった寿司の握り方に関して、「このネタにはこの握り方」というような正統なものや最適解というものはありません。お店の伝統や親方の方針など、考え方は人それぞれです。握りやすさなどの手際や、職人にとっておいしいと思える握り方を確立させている場合は、その方法でいいでしょう。

【鮨コラム②】寿司職人になるには修業が必要?

閑話休題再びです。寿司職人になるには、10年間の下積みや修行が必要と言われてきたのも、ほぼ過去の話題となりつつあります。寿司職人への修行に飛び込むのは、10代など若い世代が多かったということもありますし、親方の技を見て覚えるといった技術踏襲が多かったので、このように言われていたのかもしれませんね。

もちろん、お客さんに満足してもらうためには修業は必要です。しかし、どのくらい修業が必要かと問われれば「職人が目指すところ」によってゴールが変わるととらえるとよいでしょう。10年かからずとも寿司は握れるようになるので、家庭でも気にせず楽しんで寿司を握ることにチャレンジしてください。

自宅でおいしい寿司を握ってみよう

寿司を綺麗に形を整えるための握り方はいくつかのバリエーションがあります。ネタに合わせた握り方には最適解がありませんが、職人自身が培った知識とネタの種類や切りつけ方によって、おいしく見せるための握り方が定まってきます。そのためには基本の3つの握り方の違いや特徴をうまくとらえて慣れていきましょう。

今回の動画