魚の基本的な捌き方

【春〜初夏の1品】アイナメの葛叩き/捌き方・骨切りのコツ

春の一品アイナメの葛たたきの作り方をご紹介します。

アイナメとは?

関東では基本的にアイナメとして流通するんですけれど、西ではアブラメと言ったり地域によってアブラコと言ったりと、意外と呼び名の多い魚です。

あと、北海道だとアイナメによく似た魚でホッケがあります。ホッケは、なかなかマルで見る機会は少ないと思うんですけれど、アイナメとほぼ一緒の見た目をしています。尻尾の形が、若干違ったりするんですけれど、ホッケはアイナメの仲間です。

アイナメは重宝する?

アイナメは、なんとなく大衆魚のイメージがあるかと思うんですけれど、意外と料理屋さんでは重宝する魚です。

アイナメは、春から初夏にかけての魚で、この時期はちょうど、キンメの脂が落ちてきたり、サクラダイも一通りお客様に出し終わって前回出したメニューと重なってしまったりする頃です。夏の魚にはまだ早い時期なので、そんな5月6月にアイナメがあると蒸し物、煮物、焼き物、揚げ物、お刺身なんかにしても美味しいので、重宝します。

アイナメのさばき方

アイナメの鱗のとり方

まずは鱗を取っていきます。細かい鱗が、身にびっしりとくっついていますので、まず金ダワシで取ります。作業しづらいようでしたら、ヒレを先にハサミで切ってしまってもいいでしょう。
金ダワシで取れなかった鱗は、すき引きの要領で引くことができます。

葛たたきは、皮ごと調理する料理ですので、ゼイゴのラインにも鱗の取り残しがないかしっかりと確認するのが、ひとつポイントです。

頭の落とし方、内蔵の取り方

続いて、頭を落として内臓を抜いていきます。
腹ビレのキワから包丁を入れて、胸ビレのラインで頭を落としていきます。
アイナメは意外と骨が硬いので、指を切らないようにお気を付けください。

頭を落としたら、ヘソのラインから腹を開いて内臓を抜き、腹膜にキズを入れて血合いを掃除します。

アイナメは、ニオイが出やすい魚なので、とにかく鮮度の良いものを選ぶようにしてください。しめてあるアイナメでしたら、尻尾も落として血合いをきれいに洗い流します。

アイナメの3枚おろし

血合いを掃除しましたら、3枚におろしていきます。
アイナメは細長くて、なんとなくおろしづらそうなイメージがありますが、骨がとても硬く、しかも背骨の間隔がとても細かく並んでる魚です。
そのため、おろすこと自体はさほど難しくはないと言いますか、おろしてる最中に包丁が骨の下に潜ってしまうようなことは、まずありません。

骨が非常に規則正しく隙間なく並んでいます。
3枚おろしを失敗する時は、骨の下に包丁が潜ってしまうことが多いのですが、アイナメに関しては、比較的包丁が下に潜りづらいです。
反対側も同様におろしていきます。

アイナメの骨の取り方

3枚におろしたら、続いて肋骨をすき取っていきます。
アイナメは、肋骨が頭のほうに行けば行くほど、身の深くに骨が食い込んでいる構造をしているので、多少身を削ってしまうのは仕方ありません。

肋骨をすいたら、今度は骨抜きを使って、残った血合い骨を抜いていきます。

アイナメの骨は、結構身の奥深くまで食い込んでいるんですけれど、鮮度が良いと骨が途中で切れてしまうんです。
身の表面のほうでブチッと骨が切れてしまったら、骨抜きで探れば抜けます。
身の奥のほうで骨が切れてしまったら無理に骨抜きで抜こうとせずに、包丁を入れた時に骨を抜きます。

アイナメは尻尾のほうまで血合い骨が入り込んでいますので、残さないようにしっかりと抜いてください。

塩による下処理

血合い骨を抜いたら、全体に軽く塩を振り臭みを抜いていきます。
塩は、薄く、身全体に振ってだいたい5分から10分程度置きます。
味を入れるというよりも、臭みを抜くことが目的ですので、あまり強く塩は振りすぎないようにしてください。

5分ほど経ち身の表面にうっすら水分が浮いてきたら、一度水で洗い流します。身を水洗いして、よく水気を拭き取ったら、身に包丁を入れていきます。

おろすのはそこまで難しくないと言ったんですけど、段差ができちゃったりと、今回はちょっと下手くそなおろし方です。皆さんはこうならないように、きれいにおろしてください。

身への包丁の入れ方

人によってそぎ造りの要領で包丁を入れる方もいますし、骨切りの要領で包丁を入れる方もいます。

どちらでも好きなように包丁を入れて良いと思いますが、しっかりと皮目ギリギリ、奥までしっかりと包丁を入れるというのがひとつポイントです。
包丁の入りが浅いと、湯に落とした時に、アイナメの身がしっかりと開きません。

もし、切っている最中に骨の感覚がありましたら、その都度、しっかりと残った骨を抜き取るようにしてください。

ハモの骨切りとの違いは?

ハモの骨切りと似た仕事ではあるんですけれど、ハモの骨切りは、もっと細かく包丁をいれます。ハモの骨切りほど細かく包丁を入れると、このあとの身の間に葛粉を塗っていく作業が非常に手間になるので、目の粗さは、ほどほどにするようにしてください。

葛粉の打ち方

身の切りつけが終わったら、アイナメの身に葛粉を打っていきます。

葛粉は通常、カチカチの塊で流通していると思うんですけれど、この状態だと塗れないので、すり鉢やフードプロセッサーで砕きます。
僕の場合は、当り鉢で当たって、サラサラになるまで粉状にして、ハケに粉をつけて身に葛粉を打ちます。

最初に表面に打って、続いて身を軽く開いて、身の間に打っていきます。

葛粉を打つ際のポイント

葛粉を打ち過ぎるとモタっとした食感になり、魚を食べているのか葛を食べているのかよく分からない、ちょっと野暮ったい料理になってしまいますので、ハケで塗りながら、余分な葛粉はしっかりと落とすというのが、葛打ちのポイントです。

身のほうには葛を塗りますが、皮目には葛を塗らずに料理します。
人によっては皮目に葛を塗る人もいますが、皮目はしっかりと火を入れたいというのと、皮目はニオイが強いので、葛で覆ってしまうとニオイが葛の中に残るようなイメージがあるので、皮目には葛は塗らずに身だけ葛を塗るようにしています。

包丁を入れる際に、この間隔が細かすぎると葛を塗る作業が非常に面倒になるので、包丁の粗さ、目は細かくなりすぎないように包丁を入れるようにしています。

身に葛を塗りましたら、葛が身の水分を吸って多少身になじんできますので、このまま5分ほど置いてから湯に落とします。

湯への落とし方

まずはお湯に塩をひとつまみ加えます。氷水も用意したら、アイナメを湯に落としていきます。

お湯に落とす際は、一気に落とすのではなく、まずは網に乗せて、皮目だけ先に湯につけます。

皮目に充分火が通ったなと思ったら、今度は身全体をお湯に落とします。

もし、この時に、アイナメの身がしっかりと開かないようなら、多少箸で身の間に湯を回すようにします。

全体に火が入ったら、アイナメを一度氷水に取ります。氷水に取りますが中まで完全に冷やす必要はなくて、表面の葛が冷水にあたって固まったら、面器などにあげます。

皮目を先に火を通す理由は?

なぜ皮目から先に火を通すのかというと、当然ながら皮目は硬くてしっかりと火を入れないと噛み切れないからです。
皮目が柔らかくなるまで火を入れてしまうと、身は包丁を入れて1枚1枚が薄くなってるぶん、火が入りすぎてしまいます。

氷水に入れることで表面の葛がしっかりと固まって、ツルンとした食感をアイナメがまといます。

アイナメに火を通し終えましたら、続いてあんを作っていきます。

あんの作り方

あんは出汁にお酒を少量加えまして、お塩をひとつまみ、香り付けに薄口醤油といった具合で味をつけてください。味付けの目安は、ちょっと濃いめのお吸い物程度を目安に、味をつけています。

出汁がひと煮立ちしましたら、水溶きの葛粉でとろみをつけていきます。

沸いているところに葛粉を落とすと、結構ムラのあるあんになってしまいますので、一度火を止めて、そこに水溶きの葛を落としていきます。
水溶きの葛を落としたら、サッとかき混ぜてもう一度火を入れます。こうやって作ると、あんがダマになりにくいんです。

葛粉を使って作業をしているんですけれど、葛粉の用意が面倒であれば、片栗粉でも同じ要領でお料理できますので、勝手のいいほうをお選びください。

あんが再沸騰したら、先ほどのアイナメを、もう一度あんに入れて、全体をサッと温めたらアイナメの葛たたきの完成です。

今回は、あんにアイナメを落としたんですけれど、もしガス口が2つあって、湯に落とすのと、出汁をあんにするのと同時に作業ができるようでしたら、この工程は必要ないのかな。

あとは、お料理を盛り付けて完成です。

盛り付け方

盛り付けはアイナメを盛ってあんを張って、といった具合です。
青味を加えるなら山菜、菜の花とかウルイとかを添えてもいいと思います。

薬味は、ワサビも当然合いますし、あとは春っぽいものでは木の芽、初夏でしたら青柚子をすりおろして振ったり、じゅん菜を合わせても良いでしょう。

この辺のアレンジが料理は楽しいかと思いますので、好みの料理をお作りくださいませ。

今回のYouTube動画

今回の記事は、動画でも紹介しております。ぜひ、ご参照くださいませ。